2014年3月18日火曜日

3月13日のワインメーカーズディナー〈ゲスト近藤良介さん〉ご参加ありがとう ございました。


生産者さんが畑を離れてイベントに参加して頂きやすい季節、北海道の長い冬の間にぜひ来てください!とお願いしていました、ワインメーカーズディナー第2回目のゲストは三笠&栗沢を拠点とするKONDO Vineyardの近藤良介さんです。

やっぱり同じ土地の食べ物同士は合うよな~、ヴァン・ナチュールは和食と合うよな~、ということで、円山屋のワイン会ではお馴染みの素敵な円山の蕎麦屋「艸菴」にて開催致しました。

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※この日はどれもピンボケ写真ばかりで、もや~っとした写真多数で恐縮ですが、会の雰囲気をご参照くださいませ…。

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近藤さんからご挨拶。

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急遽お出し頂く事になった、3月21日発売予定のスパークリングワイン「ナカイ・ミュラワ」からスタートです。
発売、と言っても瓶詰め本数940本位だそうで、円山屋での販売はありません!

ミュラワ、ミュラー&オーセロワ、足して減らして、その名もミュラワです。
余市の中井農園のミュラー・トゥルガウ90%、栗沢の自社畑で採れたオーセロワ10%のアッサンブラージュ。
SO2不添加キュヴェで、グラスに注ぐとほのか~に酵母の香りが立ち上り、さわやかさの中にほろ苦いニュアンスも。

画像で分かりづらいですが、ラベルの左上あたりに「ブタ」のイラスト、ご存じの方にはお馴染みブタラベルです。買いブドウを使って造ったキュヴェには「ブタ」のイラストを採用しているそうです。ドメーヌものには、畑のまわりに居る天敵「キツネ」イラストを採用。ラベルは全て弟さんの作です。

ミュラー・トゥルガウは収量も多く、ワイン用のブドウ栽培農家さんにとっては優良銘柄であるそうですが、新しい交配品種なので病気に弱く、栽培にはある程度農薬を与えないといけないので、KONDO Vineyardでは造れない(造らない)そう。

曽我さんが買いブドでウ造っていた「ケルナー」もそうでしたが、いわゆる慣行農法で造られたブドウでも、余市のブドウのポテンシャルの高さは凄いですよね。
余市で、自然な農法で栽培したら、とんでもなく美味しくなりそうですよね、そのうちまたきっと誰かが…。

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ハマグリ、あさり、牡蠣(スモーク)

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お水ではありません、「毎朝これを飲みたい」と満場一致で思った、じんわり美味しいあさりのうしお汁。

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お料理&ワインを楽しみながら、近藤さん直々にお話しして頂けるなんて、楽しい!皆さん積極的にいろいろ質問されていました。

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海老の入ったかき揚げ、他にふきのおひたし、お出汁の効いた卵焼きなどなど、どれもピッタリ合わせたかのようにワインと寄り添うお料理が。
見えない部分でものすごく丁寧な「仕事」をされているのが分かる繊細な味わいは流石です。

器やカトラリーもお洒落。どこもかしこもセンスの良い「艸菴」のオーナー伊藤さん、パソコンはMac派です。(余談)

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混植の畑で採れたブドウ6品種混ぜ混ぜの「タプ・コプ・コンコン」。こちらも生産本数320本。数が少ないので、近藤さん自身もあまりじっくり飲んでいないという1本。

コンコン、近藤、混植、あと天敵であるキツネのコンコンを掛けて「コンコン」の名に。

色も茶色がっかって、味わいもヴァン・ナチュール好きにはたまらない1本。ゲヴュルツトラミネールのアロマティックな香りと、ドライなアフター。今村は「軟水だな~」と言っていましたが、フリウーリ辺りの似た雰囲気のワインとはやはり違っていて、そこはかとなく北海道を感じる…。もや~っとした感想ですが、フランスやイタリアではなく、北海道の味。もや~っ。

赤ワイン同様にブドウの皮ごと「醸し」をして造った白ですが、近藤さん曰く「初めての試みで(醸しを)手加減してしまった」そう。
まだまだ落ち着かずリリースしていないらしい2011年産の「タプ・コプ・グリ」というワインがあって、それは相当攻めた味わいだとか。「栗沢の自宅まで来てくれたら飲めます」と仰ってましたが、本当にお邪魔したいです、気になる。

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この後、ソーヴィニヨン・ブラン100%、(コンコンに比べたら)スタンダードな造りの「タプ・コプ・ブラン 2012」、藤野ワイナリーで近藤さんが手掛けているシリーズの赤「ツヴァイゲルトレーベ 2012」と続きました。

当日まで公開していなかったスペシャルワインは、一樽分しか造られなかった貴重な「タプ・コプ・ピノ・ノワール 2012」でした。化学農薬、化学肥料、除草剤、一切不使用、不耕起で管理された畑で採れた、文字通り自然なブドウが使われています。

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頂いた資料には
「北海道でのピノ・ノワールによるワイン造りは、「挑戦」そのものかもしれません。北限の産地で評価に耐えるピノを造ろうとすることは、誤解を恐れずに言えば私にとっては楽しみよりもむしろ修行に近い感覚があります。2012年は、夏までの晴天と高温により偉大なヴィンテージを予感させたのも束の間、一転して秋の長雨により灰色カビ病が進行し、10月からは病気に追われる中での収穫となりました。このため私の畑では、健全に成熟したぶどう果だけを最終的に「ピノ・ノワール」として収穫するため、毎日畑の房を1つずつチェックして病果の摘粒を行い、今後病気に罹りそうな房はその時点で収穫をしてしまうことにし、結局4回に分けて収穫を行いました。~(中略)~まだ樹齢も若くワイン造りの経験も浅いため、どの程度の熟成ポテンシャルがあるのかは正直なところ未知数です。」

薄旨スタイルではなく、果実味も濃厚、旨味もたっぷりな肉厚のスタイル。意外というか、何と言うか、いや~美味しい…。熟成のポテンシャルは有りますよ…これは。

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※左が、10Rにて樽で熟成中だったタプ・コプ・ピノ・ノワール。この時点で、亮子さんも絶賛でした。「KON PN」と小さく書かれています。


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力強いピノ・ノワールの余韻にも負けない、辛いつゆで頂くお蕎麦で〆。
もう一枚おかわり!と言いたい気持ちを堪えて終了です。

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どのワイン(赤でも白で)もお料理と寄り添い、そして飲んでいて疲れない。美味しさ、にもいろいろな種類があると思いますが、緊張を強いない、やさしい美味しさ。北海道でこんなヴァン・ナチュールが造られるとは、思っていませんでしたよね。

何せ、近藤さん自身も、こういったスタイルのワインを自分が造る事を想像していなかったそう。

歌志内で会社員としてワイン造りに携わっていた2005年までは、畑では農薬も使っていたそう。
ちょうどご自身の中での過渡期であり、2006年にココ・ファームチーム(ブルース、曽我さん、中澤さん他)と一緒にフランスへ研修旅行へ赴き、訪れたロワールのクロード・クルトワやマルク・アンジュリ(ドメーヌ・ド・ラ・サンソニエール)に多大な影響を受けて帰国。

ああ~農薬止めよう!と思い立ち、その年、自分が管理していた畑をいきなり無農薬に!収量激減!でもワインは美味しかった!生産量1/5になったそうです…。

急激に無農薬に転換できるものではないし、本当にやってみたいことは会社員のままでは無理!まっさらな状態の土地から試したい!と色々な思いが湧いて、何の当てもないまま独立。

中澤さんも居る栗沢で自分もやってみよう、と思い奔走、決まりかけた畑があったものの頓挫…。
交流のあった、三笠の滝沢さんの畑にたまたま行った際に、フラフラと通りを登って行ったら、手つかずの土地を発見。聞けばそこも山﨑ワイナリーさんの所有地で、誰もブドウを植えようとしていなかった所を名乗り出て、現在のタプ・コプの畑となったそう。不思議な縁です。

トラクターで1本づつ木を切り倒して…という所から始まった、日々の奮闘エピソードは近藤さんのブログの過去記事から辿って要チェックです。

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この日、近藤さんはお料理をじっくり楽しむ間もなく…皆さんと直接いろいろお話をして頂き、お越し頂いた皆さんにはお楽しみ頂けたように思っております!
こういった機会にお話をいろいろ伺えて、我々もとても楽しい会でした。

近藤さんは「やっぱり直接畑を見てもらいたい!」と繰り返しお話されていましたが、いきなり忙しい時期に行くのはNGなので…円山屋仕切りで調整しつつのワイナリーツアーでお手伝いを兼ねて畑にお邪魔したいですね、皆さんで。
札幌から車で一時間ですからね、余市も三笠も近い!


近藤さんには、来年もまたこのワイン会に来ていただく事が決定しましたので、今回ご参加頂けなかった皆さんも、また来年をお楽しみに~。今度はぜひ弟の拓身さんにもご参加頂きましょう!

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