畑やセラーでの仕事が落ちつくオフ・シーズンの冬の間に、生産者さんをお迎えしてぜひワイン会を~と、今年一回目にお招きすることになったのは、余市のドメーヌ・タカヒコ代表 曽我貴彦さん。
昨年収穫直前に誕生したばかりの娘さん、まだ3ヶ月のチビちゃんなので、ワイン会の依頼などなかなか受けられない状況の曽我さんでしたが、たまたまこの日は新酒の品評会のため札幌にいらっしゃるタイミングとあって、会が実現しました。
参加のお申込みは多いだろうと予想はしていましたが、当初の予定を大幅に超えて24名のお客様にご参加頂きました。
円山屋の隠し在庫では足りなくなってしまったワインは、これまたイベント用に特別に曽我さんに蔵出しして頂き、大人数のワイン会は初の試みであるmaruyama檀さんにて開催しました。
昨年、自社畑のナナツモリのピノ・ノワールが灰カビ大発生となってしまい、仲間の生産者さんからのアドバイスもあり変わった取り組みとして黒ブドウで仕込む白ワイン(ブラン・ド・ノワール)にしたロットは、順調でかなり美味しくなっているそう。
小布施ご実家では作られていた農家の家庭で作られる味噌や醤油のように、農家が造るシンプルで心を打つような存在のワインを目指していること、日本で造られるからこそ日本人の舌や身体に合う、繊細さやシンプルな「普通」(普段着、的なニュアンスも)の美味しさを目指しており、「普通」といってもそれぞれ違えど、シンプル、単純という意味合いでの「普通」がなかなか難しい、というお話がありました。
「高級感のない、居酒屋で飲んでも合う」ようなワイン、と仰る“ヨイチ・ロゼ・サンスーフル 2012”からスタートです。
北海道限定キュヴェとしてリリースされた1本。一応、前もって「独特な味わい、若干の漬物のような匂い」と、曽我さんから釘を刺されましたが、確かにリリース直後は豆々しい印象が強かった印象でしたが、ヴァン・ナチュール好きには気にならない程度の酵母のフレーバー、味わいも落ち着いてとても美味しくなっていました。
「臭くならないように管理するのが大変」であり、ナナツモリのピノ・ノワールに比重を置くため、今後は造られないとのことですが、ああ寂しい。お出汁の餡がかかったタチの茶わん蒸しと一緒に。スタートから沁みます。
続いて、曽我さん曰く「最後なのできれいな味わいに造った」“ナカイ・ブラン・ケルナー 2012”。
ケルナー種自体新しい品種で力強さが備わっており「自然(まかせ)にやると濃くなる」ところを、飲んで疲れない優しい味わいに仕上げようとするとまた手間がかかる、というジレンマが。
冒険して「臭い」スタイルにしたりヴィンテージもあったけれど、2012年以降は造らない事を決めていたので、最後のヴィンテージはきれいに仕上げたそう。とは言えすこし濁った自然なスタイル。
ユリ根の入った湯葉の春巻きと一緒に。(一緒に入っていた山菜が何か忘れました…ちょっと苦くて美味しい。)
始まりから終わりまで、都度都度各テーブルをまわって、直接皆さんといろいろお話しして下さいました。
(手ブレを活かして皆さんハッキリ写っていない写真をUP!)
“ヨイチ・ノボリ・アッサンブラージュ 2012 ”
「農家の造ったワイン」がコンセプト、と、わざと濁らせて、敢えて王冠で栓をした、地元還元(値段が高いと言われる事もあって、気にして?)の1,000円代でリリースされた1本。
ボジョレーの赤のように抽出をあまりせず、柔らかい印象に。「エグみもあるけれど、面白いでしょう」とのお話が。
そこそこ収量の多い、他のワイナリーも買っているのと同じツヴァイを使って仕込んでおり、言い方は何ですが、ものすごくレベルの高いブドウを使っていなくてもこのようなワインが出来るのは、余市のブドウのポテンシャルの高さ故。
穴子のテリーヌの左側に添えられているソースは、maruyama檀さんチームも一緒に昨年収穫のお手伝いに行った際に拾った、曽我さんの栗のソースです。心憎い演出、そして美味しい~。
“ヨイチ・ノボリ・パストゥグラン 2011”
こちらのワインで使っているツヴァイは、若干収量を落として貰ったブドウを利用。ツヴァイのづしても余韻が短い部分を、ピノ・ノワールが補っています。アフターが長い。
曽我さん曰く、2~3日かけて楽しんで欲しい、自分は2~3日目の味わいが好み、かつ、もう少し熟成させるとより面白いと思う、とのこと。
ストックがある方は、ぜひご参考に…。
“ヨイチ・ノボリ・キュムラ・ピノ・ノワール 2011”
美し、美味し…。(以下コメント記録なし)
キュムラと一緒に頂いた豚肉のローストのお皿には、インカの目覚めのマッシュポテト、菜の花のお浸し、美味しいいろいろ大根、にんじんにゆず味噌、ヘーゼルナッツの入った珍しいマスタード、旨味の強いイギリスのお塩、といろいろ合わせて楽しみました。
おにぎり…ではなくて何て呼ぶのか度忘れしていましましたので、小さいおにぎり(本当はもっと素敵な呼び名)の中にはドライトマトが混ぜられていて、上に載った日本のアンチョビ?(これまた名前失念しました)が乗って、旨みの強い「赤ワインに合う」一品。
予定のワインを全て飲んだ後、今回特別にイベント用に曽我さんが持参して下さったサプライズワインが登場!
今春にリリース予定の、まだラベルの貼られて居ない“パストゥグラン 2012”を少しずづ試飲させて頂きました。
キュムラのピノ・ノワール40%、ツヴァイ60%。今回は「やってみたかったので」と、ピジャージュ(抽出)を強めに行い、濃いめのスタイルに。このワインが一番!というお客様の声もありました。
そしてこちらもリリースが待ち遠しいナナツモリのピノ・ノワール2012年は、現状で酸が非常に硬く、果実味は負けていないけれど、リリースすには不安があるため、次の仕込みが始まるギリギリ前の秋頃まで時期を伸ばす予定だそう。現状でも、リリース後3年位は熟成させて欲しいとの予測でした。
あわせて気長にリリースを待ちましょう。
最後にmaruyama檀の菜穂さん&美穂さんシスターズ、スタッフの皆さんのご紹介。(何故か解像度の低い画像のみの中からの一枚…)
曽我さんには、一つ一つワインの説明などお話頂きましたが、どのワインも最小限(金額的にも)の設備で、酵母も添加せず自然に発酵させ、望むスタイルになるよう最小限の手助け、酸化防止剤もおまじない程度、と、シンプルな造り。
元手がそこまで無くても、最小限の設備で、小さいワイナリーは作れる!という事を、自分自身が実践しながら教えたい、「真似が出来るワイナリーになりたい」と、農家の息子でもワインを勉強して自分なりに造りたいワインの方向性が定まれば、最低限の設備で小さいワイナリーは始められるので、どんどんノウハウを教えたいというお話が印象的でした。
また来年、と言わず出来るなら年内にでも、曽我さんを及びしてこのような会が開催出来ればと思いますので、次回も皆さんご参加下さいね。
この日一足お先に試飲させて頂いたアッサンブラージュ、写真のエチケットととは少し違うデザインになるそう。恐らく今年最初のリリースとなるアイテム、発売の際にはまたご案内致しますので、お楽しみに。
☆円山屋のfacebookページにて、他の写真も公開中です⇒https://www.facebook.com/media/set/?set=a.807831935908915.1073741844.232417760117005&type=3&uploaded=1
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